語学は「稽古」(けいこ)?
今月の大相撲九州場所で安青錦が優勝しました。10代の時に祖国ウクライナで戦争が始まり、ドイツに逃れた人です。ウクライナ語での名前はダニーロ・ヤブグシシン。
青はウクライナの国旗の色です。
相撲は四股(しこ)、てっぽう、すり足、ぶつかり稽古など日々の厳しい稽古の世界です。「すり足」は足の裏を常に土俵につけて低い姿勢で進んでいく稽古です。「てっぽう」では「てっぽう柱」を思い切り突き続けます。
安青錦はある時、「日本に来て一番大変だった事は何ですか?」と聞かれて「日本語を覚えることです。」と答えました。相撲の厳しい稽古以上に日本語の習得は大変だったのですね!
彼の日本語の「稽古」は毎日新しい表現を覚えて、その日のうちに5〜6回使ってみること。すでにかなり自然な日本語を話します。
それ以上に印象的な事は、彼が日本の伝統的な礼儀をしっかりと身に付けていることです。今場所一三日目の取組みでは普通に見て彼が勝っていたにも関わらず、大の里に軍配が上がったのですが、不満や抗議の表情は全くなく、きちんとお辞儀をして、静かに土俵を降りて行きました。彼の態度には、常に相手への敬意が感じられます。私たち語学の「道」を志す者にも、とても大事なことですね。
「四股」や「すり足」は、語学ではしっかりとした基本姿勢、呼吸、発声、発音を身に付けること、つまり「足腰を鍛えること」に通じます。「てっぽう」は母語にない音を思いっきりアウトプットすることにつながります。
私たちも「自分らしい相撲」を取り続けて、どんな場面でも「崩れない」コミュニケーターを目指しましょう。
