ウィーン大生の靴箱

ウィーン大学は1365年に設立された伝統ある大学。

通訳翻訳学科の「新入生のための導入講義」では学科長であるViktor Petioky先生が直々に「学び方」の基本を教えてくれる。

内容はとても実際的。Häufig kurze Pausen machen! (Make sure to take short breaks frequently! /勉強する時は、こまめに短めに休憩を取りなさい。) そして休憩中は少し体を動かしなさい。

風邪をひいて喉が痛くなったら、刺激の強いトローチはかえって喉を痛めるので避けて、レモンティーなど「温かい飲み物」を。

厚手の紙のカード(Karteikarten/Flashcards)の使い方も彼の講義で学んだ。大きさはA5からA7まで。A5サイズであれば、例えばドイツ語圏の文学作品のあらすじ、登場人物、反響、文学史での位置付けなどを1枚のカードにまとめて書くことができる。好きな色で色分けもできる。

新しい靴を買ったら、靴箱は捨ててしまわない。靴箱の中にカードをきれいに整理して保管する。フタがあるので何十年経っても痛まず、必要な時にはいつでも取り出して見ることができる。

靴箱の中のカードは、作家ごとにまとめたり、時代ごとにまとめたり、地域ごとにまとめたり、自由自在に入れ替えて整理し直すことができる。自分が心を込めて一枚一枚作った手書きのカードなのでその作業もまた楽しい。

外的動機と内的動機の違いについて初めて私に教えてくれたのもペティオキ先生。

外的動機は「試験に合格するため」、「人との競争に勝つため」、「偉くなるため」など。

内的動機は「学ぶ楽しさそのもの」(Freude am Lernen an sich/ 对学习本身的喜悦/The joy of learning for its own sake/)(なぜか英語ではちょっと長くなる😄)であり、内的動機は外的動機よりもはるかに強くて永続的。

美しい言語で良い文章を読んでいると、あるいは音楽作品を練習していると、自然に「乗って」きて不思議な充実感に満たされる。

何か事務的な相談で先生を訪ねた時、先生は私にこう言った。 「Sie sprechen blendend Deutsch!」(You speak German brilliantly!/あなたのドイツ語は目が眩む?ほど。) 

私がドイツ語に自信を持ったのはその時です。

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