数字は宝石箱

海外に行って、何よりも最初に必要になるのが数字です。

空港からタクシーに乗る時も、売店で飲み物を買う時も、レストランで食事をした後も数字を正確に伝える力が不可欠です。

同時に、数字を身に付けるとそれだけで、その言語の発音の基本を既にほぼマスターしていることになります。0から12までの数字の中に、その言語の音素がほとんど全て含まれているからです。

ドイツ語の3である「drei」には喉の奥で作る摩擦音である/ʁ/ がさっそく登場します。5である「fünf 」にはウムラウトの/Y/が含まれています。

フランス語の1である「un」は、パリの雰囲気を感じさせる鼻音/œ̃/で始まり、12にあたる「onze」は高貴な鼻音/ɔ̃/で始まります。

英語の3である「three」は/θ/の音で始まるのですが、これは古代ギリシャ語にもあるクラシックな音です。12にあたる「twelve」の最後の/v/は、豊かな余韻を作り出す有声摩擦音です。

言語を学ぶものにとって、数字はまさに素敵な音を鏤めた宝石箱なのです。

毎日ひとつひとつ取り出して味わいましょう。

例えば今、机の上に鉛筆が3本あれば、すかさず大きな声で言いましょう!

Ich habe drei Bleistifte!

J’ai trois crayons!

I have three pencils!

ところで、今の私達が毎日お世話になっている「アラビア数字」の起源を辿って行くと、6世紀のインドにたどり着きます。「位取り」もその頃のインドで実用化されました。

アラビア数字をローマ数字と比較してみると発想の違いがよくわかります。

MCCCXCVI (ローマ数字)

1396 (アラビア数字)

ローマ数字では位に対して別の記号(M/C/X/など)を使っていました。それに対しインド数字では、0から9までの記号だけを使い、その記号の置かれている「場所」で位を示したのです。(positional notation)

シンプルで美しい論理性のインド数字は10世紀のダマスカスで筆算に応用されました。

それがようやく英国に伝わったのが1396年と言われています。

ですから今日本の受験などで使われる「英数字」と言う言い方は、インドやシリアの人達にちょっと失礼かもしれませんね。😄

クイズ:ヨーロッパに行くと、歴史的建築の外壁等にはローマ数字が書かれています。その芸術としての美しさには感動しますね。CMXCIXはどういう数でしょうか?

P.S.  ChatGPTによればローマ数字では複式簿記は不可能だそうです。